開業手続き

【横浜で飲食店で独立開業する|お店のコンセプトを決める】

1,独立開業|基礎知識・店舗コンセプト

1)何でも屋は失敗のもと

初めて飲食店を開業しようとする人は、お客様の利用する間口を広げることを考えて、多種多様なメニューを一生懸命増やす傾向があります。

結果、一体何のおみせか分からない、という状態になりがちです。
1人でも多くのお客様のご来店いただきたいと、和洋折衷メニューをバラエティ豊かに揃えてしまうのです。

ところが、このようにメニューの種類の多い「なんでも屋」さんは非常に危険な発想です。メニューが多いということは、扱い食材が増え在庫を多く確保する必要が出てきます。
そして、さまざま料理にはさまざまな調理法という結果、厨房作業が複雑になりがちです。

それでも、これらはお店の熟練度が上がってくればクリアできるとこかもしれませんが、一番の問題は「お客様のアピールが弱くなる」点です。
「何でもある」→「何もない」と同等になってしまい、初めてお店をもつ方にとてはリスクが高いと言えます。

ここは一定のメニューに特化して、コンセプトを確立して「〇〇屋」とすることでお客様にアピールすることができるようになります。

2)店舗コンセプトを決めるには

例えばカフェを始めたいなどやりたい業種は決まっていたとしても、いざ独立開業する時にはお店のコンセプトを確立することが大切です。

まず、お店のメインターゲットになる顧客層や利用動機、業態を考えていきます。ここで基本設定が定まったら、自分のお店の位置付けをさまざまな観点から検討することでライバルとの差別化を図ります。

このように進めていくと、お店のコンセプトを決めやすくなってきます。
具体的には「どのようなお客様の、どのような動機を満たすために、何をどのように、いくらでお出しするのか」ということを明確にするのが、「コンセプト設計」です。

2,ターゲット層と利用動機

1)来てもらいたいお客様をイメージする。

店舗のターゲット層を決めるときは、まずどのようなお客様にきてもらいたいのかを考えてみてください。ここでは、できるだけ具体的に考えてみることがポイントです。

例えば「若い女性」では、ターゲットが広すぎです。年齢・性別だけでなくライフスタイルや平均所?と具体的に考えてみましょう。

2)お客様の利用動機を考える

ターゲット層がある程度決まったきたら、その次はそのお客様の「利用動機」について考えてみましょう。
飲食店における「利用動機」は食事をすることですが、それだけではありません。TPO(時・場所・目的)に応じて使い分けがされているはずですね。

したがって、飲食店で独立開業するにあたってターゲット層が決まったら、次にそのお客様がどのような利用目的で来店されるかを考えることが大切になってきます。

そして、ターゲット層とお客様の利用動機がしっかりと嚙み合っているかの確認を忘れずにしておきましょう。ここがズレてしまっては、思うように集客ができません。

3、提供するものサービス形態を決める

ターゲット層と利用動機について検討が終わったら、次は始めたい業種を確認した上で業態について考えていきます。

1)業種を決める

「業種」とは、「ラーメン屋」「焼肉屋」など提供する商品やサービスのジャンルによる分類のことです。「何をうるのか」を言います。
今独立開業を考えているみなさんは、既にイメージはできていると思います。

2)業態を決める

「業態」とは、「ファストフード」「立ち飲み」「テイクアウト専門」などのように商品の提供方法や利用用途、価格帯などによる分類です。
これらの「業態」選択は重要です。
単純に「居酒屋をやりたい」と業種は決まっていても、どの様にやるのか?「業態」まで考えの及んでいる方は少ないのが現実のようです。

「1人でパパっと立ち飲み」「安くて、美味くて、何でもあります」「雰囲気のよい落ち着いてくつろげる高級志向」等々、「業態」の違いは客単価の違いに直結します。

「1人でパパっと」の飲みたい方に1万円の客単価は期待できませんね?
「高級志向」のお客様に、まさか缶詰を提供するわけにもいきません。

あなたなが開業するお店に来てもらいたいお客様は、どんなお客様ですか?
あなたが喜んでもらいたいお客様に合せた「業種」「業態」にするからこそ、あなた自身が楽しく経営を続けていけるというものです。

何を、どうやってお出ししていくのか?
「業種」「業態」の選択を間違えると、開業後に苦労するので、準備段階でしっかりと思いを巡らせておきましょう。

4、ライバルとの差別化を考える

ターゲット層と利用動機、「業種」「業態」の検討が終わったら、お店の基本コンセプトが見えてきます。ここまできたら、「ライバル店」との差別化を考えましょう。

1)ポジショニング

まず、自分の店の位置付け(ポジショニング)について考えてみてください。
具体的には、
ターゲット層・主婦層?学生層?サラリーマン層?富裕層?等
店舗の雰囲気・フォーマル?カジュアル?
価格帯は?短時間向け?メニュー構成等
さまざまな観点からライバル店との比較をしていきます。

例えば、あなたが出店を考えているエリアに同業種の店があるとします。
A店では、学生をメインターゲットにした「若い層」に「安さ」を提供している
B店では、中高年層をメインターゲットに「本物志向」で高額な価格設定にみあった「専門性」を前面に打ち出している。
そこにあなたが入っていくとすると、どのフィールドで勝負をするべきでしょうか?

 

ここから見えてくることは・・・・
「庶民的なお値段の、年配向けのお店」「高級志向で、若者向けのお店」は、ライバルが存在していないということです。
ライバルの存在しないフィールドであなたのお店を展開していけるか?を考えてみてください。
庶民的なお値段で年配の方向けのお店に必要なものは何か?
高級志向で、若者を集めるにはどのような取り組みをしたら良いのか?
具体的に取り組むべきものが見えてくるはずです。

2)お店の強み・弱みを把握する

「SWOT分析」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
お店の差別化を考える際に役にたつ1つの考え方です。
SWOT分析を用いることで、あなたの目指すお店の「棚卸」ができます。
お店の「強み(Strenght)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの頭文字をとった指標です。

「強み」「弱み」は比較的分かり易い指標と言えますが、「機会」「脅威」は分かり難いかもしれませんね。「機会」「脅威」は外部的な要因によるものも多いです。
例えば、狂牛病や鳥インフルエンザなどの問題、また自店の商圏における競合店の出店やお客様の動向も影響してくると言えます。

強 み機 会
・自店オリジナルメニューに目玉商品(キラーメニュー)がある
・素材仕入の独自ルートがある
・ブランド力がある
・強力な人脈がある
・ノウハウや経験が蓄積されている
・・・等
・健康志向ブームにより有機野菜が注目されている
・外国産の食材不安から国産が注目されている
・交通の便が良くなり、自店エリアが活性化、ターゲット層の新規流入が期待できる
・地域ライバル店が閉店
・観光客が増加
・・・等
弱 み脅 威
・ブランド力が無く、認知度が低い
・資金力が弱い
・出店エリアの人口が少ない
・設備・機器が古い
・店舗が狭い
・・・等
・有名チェーンが進出している
・新規出店が増えて飽和状態にある
・ブームの終焉が見えている
・少子化・過疎化で市場が縮小傾向
・観光客の減少
・・・等

この様にSWOT分析をすることで、現状の把握をすることが可能です。
あなたの「強み」を「機会」に乗せて伸ばすことができると、お店の売上も加速するでしょう。
逆に、「脅威」と「弱み」の重なる部分を放置しておくと、致命傷に成り兼ねません。
取り組むべき課題に優先順位を付けて、あなたの目指すべきお店を検討してください。

5、6W2H

ここまで、ターゲット層や利用動機、業種・業態を検討して基本的なお店のコンセプトを考え、その上でポジショニングやSWOT分析をしてライバル店との差別化を検討してきました。
これらを1つ1つ検討していくことが、開業も売上を伸ばしていくこに繋がります。
そして、あなたが取り組むべき「お店の姿が見えてきます」。

ここでは6W2Hに基づいて「お店」を創ってみてください。

Who(誰が)どのような組織で(個人・法人)、従業員
Whom(誰に)主なターゲット層
Where(どこで)立地
What(何を)提供する商品・アイテム
Why(なぜ)お店の経営理念・開業動機・目標
When(いつ)開店時期、営業時間、お客様の利用時間
How to(どのように)業態・ポジショニング
How much(いくらで)商品・アイテムの価格帯

実際に書き出してみて、1つ1つ丁寧に確認してみましょう。

こんな感じになるでしょうか?

ターゲット層

メインターゲットは、近隣の大学・専門学校に通う学生、20~30代前半の独身社会人。サブターゲットは、近隣主婦層

業種

カフェ&バー

業態

13坪で、25席程度の小型店舗
チェーン店と比べると、若干高めの
お酒もユックリ飲めるカフェ&バー

強み・10年飲食業界での経験あり
・前職での人脈で独自仕入ルートを確保
・店長経験と店舗運営経験あり
・多くの店舗をリサーチしてみつけたこだわりレシピの
サンドウィッチとコーヒー
・お客様の動向を熟知した街への出店
・近隣に友人・知人が多く、開業後は常連になってくれ
る可能性が高い
・出店エリアにターゲット客層が多い
弱み・資金力に乏しい
・小規模店舗の為、1度に多くのお客様を向かえられない
・出店場所が裏通りの為、認知度を上げる努力が必要
機会・最寄り駅の整備が進み、市場拡大が見込める
・現況、ライバル店が少ない
脅威・大手チェーン店の進出は常に考えられる
・不景気による外食機会の減少


Who(誰が)10年間飲食業界を経験してきた自分が、個人事業主として開業、アルバイト1人
Whom(誰に)○○駅周辺の学生、20~30代前半の社会人男女
Where(どこで)郊外の私鉄駅から徒歩5分程度。メインストリートからは一本裏に入ったところ。
近隣には大学や専門学校があり、ワンルームマンションも多数い
What(何を)こだわりのサンドウィッチ、コーヒー
Why(なぜ)学生時代から慣れ親しんだ街で、さまざまお客様がリラックス
できる場所を提供して、お客様同士が楽しめる場所を創出したい
When(いつ)営業時間:10:00~23:00
ピークタイム:11:30~13:30/19:30~22:00
How to(どのように)13坪25席の小型店舗
昼はセルフ、夜はカジュアルバー
How much(いくらで)コーヒー1杯500円~
アルコールは、700円~
フードは軽食を中心に400~1200円程度

と、お店の姿が見えてきたら、次は「お金」ですね。

          グランドオープンしたからには、30年は続けてもらいます
             自分の子供達と酒を酌み交わすお店創りをお手伝い
              繁盛店開業支援マイスター、横浜の行政書士丸山